グラフォーはキンセールという町に住む男の子。
グラフォーはヘリコプターが大好きで、次の誕生日には両親にヘリコプターのおもちゃを買ってもらおうと思っていました。
グラフォーの誕生日は12月14日で、あと1週間後に迫っておりました。
12月7日の夜、グラフォーはお父さんに、「誕生日にはヘリコプターのおもちゃが欲しい。」と頼んでみました。
グラフォーのお父さんは、漁師というお魚を取る仕事をしておりました。
お父さんはヘリコプターよりも普段乗っている船の方が好きなので、ヘリコプターのおもちゃが欲しいと言ったグラフォーに対して、
「グラフォー、ヘリコプターでは魚は捕れないぞ。でも、船ならばたくさんの魚を捕ることができる。船の方が素晴らしいだろ。船のおもちゃの方がいいんじゃないか。」と言いました。
グラフォーは、「魚を捕ることができる船も素晴らしいけど、街を上から見下ろせるヘリコプターの方がやっぱり好きなんだけどな。」と思いました。
「グラフォー、ヘリコプターでは魚は捕れないぞ。でも、船ならばたくさんの魚を捕ることができる。船の方が素晴らしいだろ。船のおもちゃの方がいいんじゃないか。」と言いました。
グラフォーは、「魚を捕ることができる船も素晴らしいけど、街を上から見下ろせるヘリコプターの方がやっぱり好きなんだけどな。」と思いました。
12月8日の夜、グラフォーはお父さんに、「やっぱり僕はヘリコプターのおもちゃが欲しい。」と伝えました。
お父さんは、目を合わさずに軽く「うん。わかってるよ。」と言いました。
グラフォーは、このままだとお父さんは、ヘリコプターではなく船のおもちゃを買ってきてしまう気がしました。
実はお父さんは、毎年毎年グラフォーが頼んだ物ではなく、お父さんが好きな物をプレゼントとして買ってきてしまうのです。
去年は、グラフォーは剣のおもちゃが欲しいと言ったのに、お父さんは釣り竿のおもちゃを買ってきてしまいました。
一昨年は、グラフォーはライオンのぬいぐるみが欲しいといったのに、お父さんはウミガメのぬいぐるみを買ってきてしまいました。
お父さんは、目を合わさずに軽く「うん。わかってるよ。」と言いました。
グラフォーは、このままだとお父さんは、ヘリコプターではなく船のおもちゃを買ってきてしまう気がしました。
実はお父さんは、毎年毎年グラフォーが頼んだ物ではなく、お父さんが好きな物をプレゼントとして買ってきてしまうのです。
去年は、グラフォーは剣のおもちゃが欲しいと言ったのに、お父さんは釣り竿のおもちゃを買ってきてしまいました。
一昨年は、グラフォーはライオンのぬいぐるみが欲しいといったのに、お父さんはウミガメのぬいぐるみを買ってきてしまいました。
グラフォーは、去年と一昨年の事を思い出して、とても不安になりました。
12月11日の夜、キンセールの街では運悪く同じ時間帯に火事が3件起こりました。1件は街の郊外の工場、2件目は街の中心にあるレストラン、3件目はグラフォーの家の近くの作業小屋でした。
グラフォーの家の近くの作業小屋は、町の人たちが一緒に使っている小屋で、人は住んでませんが、グラフォーのお父さんが使う漁の道具も、その小屋にいくつか置いてありました。
お父さんは、漁で使う大事な網が燃えてしまうんじゃないかと、とても心配になりました。
困ったことに消防車は、1件目の街の郊外の工場と、2件目のレストランの消化作業に、回ってしまい、3件目の作業小屋にはなかなか来てくれませんでした。
困っているお父さんを見たグラフォーは、なんとかしないと大変だと思いました。
そして、どうしたらいいか考えると、一つのアイディアを思いつきました。
グラフォーはお父さんに向かって大きな声で、「ヘリコプターを使えば消せるかもしれない。」と伝えました。
そして、「ヘリコプターで海の水を汲んできて小屋の上でかければ、きっと火は消えるはずだよ。」と説明しました。
お父さんも、グラフォーのアイディアに対して、力強く「うん、そうだな。」と返事をし、すぐにヘリポートの電話番号をインターネットを使って調べました。
お父さんは電話番号を確認すると、すぐさまヘリポートに電話をしました。
「もしもし、ヘリポートですか?今、街で火事が3件発生してます。消防車が足りないので、ヘリコプターを使って水をかけてくれませんか?」
ヘリポートの人は、「わかりました。そういうことならすぐに向かいます。」と言って、すぐにヘリコプターで水を作業小屋に海の水をかけてくれました。
素早く火を消し止めたので、被害は少なく済み、お父さんが大事にしている漁の道具も無事でした。
お父さんはグラフォーにこう言いました。
「グラフォー、素晴らしいアイディアを教えてくれてありがとう。ヘリコプターもかっこよかったな。」
グラフォーもほっとして、涙を流しながらこくりとうなずきました。
12月14日の朝、グラフォーが目を覚まし朝ごはんを食べにテーブルに行くと、お父さんとお母さんが声を合わせて、
「グラフォー、お誕生日おめでとう!」とお祝いの言葉を言ってくれました。
そして、お父さんがプレゼントの箱をグラフォーに渡しました。
ドキドキしながらプレゼントの包みを開けると、中には欲しがっていたヘリコプターのおもちゃが入っておりました。
よかったね。
作:ウエスギ セン
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